銀行の不動産担保ローンの審査は厳しい?
金利の低さが魅力
不動産担保ローンの取り扱いがあるのは、大きく銀行とノンバンクの2つの金融機関です。銀行は、いわゆるメガバンクと呼ばれるものや地方銀行、信用金庫などのことで、ノンバンクは銀行や信用金庫以外の貸金業務を行う金融機関全般を指します。ノンバンクの代表がアコムやプロミスなどの消費者金融業者です。不動産担保ローンに関しては、専門とするノンバンクの会社も存在します。銀行には銀行法が、ノンバンクには貸金業法がそれぞれ適用されます。不動産担保ローンに限らず、ほぼあらゆるローンで銀行はノンバンクよりも金利が低いというメリットがあります。銀行法によって上限金利が低く設定されているからです。ノンバンクには貸金業法が適用されるため、上限金利は銀行よりも高く設定されます。一般的に銀行は金利が低い代わりに審査基準が厳しい傾向があり、また審査結果に応じて適用金利に幅があるのが特徴です。ノンバンクは審査は銀行よりゆるめですが、金利が高い傾向があります。提供される商品はノンバンクのほうが種類が豊富ですし、審査結果も早く通知されます。
銀行の審査
不動産担保ローンは、銀行のほうが審査の結果が出るまでに時間がかかります。近年はスピードアップしつつありますが、それでも結果通知までに1ヶ月から2ヶ月かかるのも普通です。これは審査を厳密に行って慎重に判断しているからと考えられます。一方、ノンバンクは審査結果の通知は早く、最短で即日で審査結果が通知されるところもあります。銀行であっても審査そのものは、実際には保証会社が行っていることが多くあります。保証会社は借入の保証人の代わりとなる存在で、借主が返済不能に陥った場合に、それに成り代わって弁済を行って債権とします。そこからは保証会社と借主との交渉です。銀行が独自に審査する場合には審査は厳格になりがちですが、保証会社を使う場合には若干ゆるくなると言われています。保証会社を使うとはいっても、銀行の審査には担当者が実際に判断を下しているのです。ノンバンクでは機械的に判断することもありますが、銀行では多くの場合、審査には具体的な人がかかわります。審査に時間がかかるのは、こういった制度的な問題もあると推測されています。
審査する項目
不動産担保ローンの審査で最重要なのは、担保となる物件の価値です。建物や土地、マンションなどを、銀行や保証会社が指定した鑑定士が評価し、公示価格や路線価、基準地価などを元にして決定されます。担保価値が高ければ借りる個人の信用力が多少低くても申し込めるという点が、このローンの強みです。ただし、返済不能になった場合には、その不動産を失うことになります。また、他社・他行からの借入額と件数も審査の対象となります。他社・他行からの融資に関する返済状況もチェックされて、個人信用情報機関に照会して、返済の遅延や延滞がないかを調べます。有担保ローンとはいえ、金融関連の事故を起こした人には銀行はお金を貸しません。また、税金に滞納がないかどうかは厳しくチェックされます。不動産担保ローンは抵当権を設定することがほとんどですが、このときに返済不能になっても、税金の回収のほうに優先権があり、銀行や保証会社が債権を回収しにくくなってしまいます。税金の未納があれば、早めに納めておきましょう。
借主個人の情報も審査される
不動産担保ローンは有担保ローンですので、返済されなくても不動産の売却で債権は回収できますが、銀行の側とするとしっかり利息付きで返済してもらいたいというのが本音です。そのため、審査では借主本人の経済状況や雇用形態、勤続年数などが見られます。また、世帯収入に対してどの程度ローンの返済額があるかという割合を示した返済負担率も算出されて審査されます。世帯収入が600万円で年間のローン返済額が60万円であるとき、返済負担率は10%です。これが35%を超えるとき、審査では非常に厳しいことになります。無担保ローンに比較すれば不動産担保ローンは返済負担率の基準がゆるやかですが、融資額に影響することですので注意しましょう。
銀行の不動産担保ローンの審査における担保価値とは?
担保価値とは?
担保価値は、不動産担保ローンの申し込みをする際に銀行などに提供する抵当不動産のことを言います。土地や建物、アパート、マンション、工場などが対象となります。借主が借入金を返済できなくなった場合に、銀行がその不動産を売却することによって返済金に充当する目的で設定されます。これにより、たとえば借主が返済できなくなっても確実に融資を回収できるので、通常の無担保・無保証のローンよりも低金利で、高額な融資を受けることが可能です。銀行の審査でも担保価値は最重要の項目で、一般的にはノンバンク系よりも銀行のほうが融資額が多い傾向があります。とはいえ、評価額の全額を融資というのは不可能で、およそ70%程度が平均的で、他の審査項目によって上下します。
土地の評価額の決め方
土地の評価額を決定する際には、公示価格や路線価などが基準となりますが、なかでも路線価が重要です。路線価を基本として、その他の要素を加えて評価されると考えていいでしょう。路線価については国税庁が発表している「路線価図・評価倍率表」に記載されており、国税庁の公式ホームページからも確認できます。この図表には地域ごとの地図が掲載されていますが、そこに数字とアルファベットを組みあせた記号が書き込まれています。これが路線価です。銀行が路線価を使って土地を評価する場合には、たとえば路線価「200D」となっている50平方メートルの土地であれば、1000万円と評価されます。路線価は公示価格の約80%です。1250万円が評価額となり、さらに審査によって融資額を決定します。
建物の評価の仕方
建物については、現時点で売却した場合の評価額を算出することもありますし、建物の構造や種類、周辺地域の特徴などを複合的に考慮して算出することもあります。銀行によって様々な方法があり、評価の仕方によっては時間がかかるものです。銀行では原価法という複雑な方法で評価するケースもあります。最も正式な鑑定方法で、審査までに時間を要します。
銀行の不動産担保ローンの審査では他社借入も審査対象
金融に対する性格の審査
銀行の不動産担保ローンで必ずと言っていいほど審査される項目が、他社・他行での借入額や件数、返済状況です。また、どのような金融機関から借りているかも重要視されます。借入や返済の状況といった情報を一括管理している機関を信用情報機関といいます。銀行に不動産担保ローンを申し込みすると、この機関に銀行が照会して審査をします。具体的な審査の内容としては、融資を受けている件数、融資の総額、毎月の返済額、また直近2年間の返済状況を閲覧されます。
個人信用情報機関の種類
日本には全国銀行個人信用情報センター、CIC、日本信用情報機構の3社の情報機関があります。銀行個人信用情報センターは主に銀行融資にかかわる情報を管理しており、銀行にローンを申し込むと必ず閲覧されると思って間違いないでしょう。チェックされるのは、申込者がどの程度の借入金があり、それをどう返済しているかということです。たとえば毎月返済はしているものの、同月内ですぐに借入をしているとすると、お金に困っていると判断されますし、大手の消費者金融業者や銀行ではなく、中小の消費者金融業者から借入していると、何か事情があると判断されます。銀行は「街金」と呼ばれる中小の消費者金融業者を嫌う傾向があると言われていますので注意しましょう。もし街金から融資を受けているのであれば、なるべく完済してから申し込みをしましょう。
審査で不利な借り方
不動産担保ローンの審査で不利になるのは、たとえば複数の業者から借入している場合です。同じ50万円の借入でも、1社から50万円を借りているのと5社から10万円ずつ借りている人では、後者の方が圧倒的に不利です。後者の人は、1社から10万円しか融資を受けられない程度に信用力が低いと判断されるからです。むしろ1社から50万円借りている人のほうが審査としては信用力があるとみなされます。当然ですが、近い過去に債務整理や自己破産をしているときには審査には通過できません。2ヶ月以上の返済遅延があるときも審査では不利です。
銀行の不動産担保ローンの審査で返済負担率は重視される?
返済負担率の基本知識
不動産担保ローンだけでなく、住宅ローンや無担保・無保証のカードローンでも、審査項目のひとつとして返済負担率は重視されます。借りる人が現実的に返済できる金額はどの程度かを表す数字です。年収に占める年間の返済額の割合として算出されます。たとえば年収が500万円の人の年間の返済額は20%になります。現実の生活もありますし、税金なども支払っていきますから、多くの銀行では返済負担率を35%と考えています。年収が500万円の人であれば年間に175万円、毎月14万5800円程度であれば無理はないだろうというボーダーラインです。一般的には返済負担率35%の人は、年収のおよそ6倍から7倍程度が融資額となります。年収500万円の人は最大で3500万円まで融資される計算になります。
不動産担保ローンでの考え方
返済負担率35%として、融資の総額を年収の6倍から7倍とするのが普通のローンですが、不動産担保ローンではこれを超えて融資を受けることができます。ローン専門会社は当然、銀行でも審査次第で高額の融資が可能になることがあります。当然ですが、これは担保として物件を提供するからです。土地や建物の評価額にもよりますが、年収500万円の人が3500万円以上の融資を受けることも可能です。また、個人がローンを利用するには総量規制という規制が適用され、年収の3分の1以上の借入はできないことになっていますが、銀行ではこの基準をかなりゆるく設定しています。大手の銀行でも不動産担保ローンであれば、年収基準が200万円で融資額は担保物件次第でいくらでも受け付けるところがあります。
カードローンに比較するとゆるめ
銀行でもローン会社でも、借りる人の収入は審査対象となりますが、不動産担保ローンでは審査はゆるくなるのは事実でしょう。銀行にとっては、不動産を担保に提供してもらっていますから、貸し倒れのリスクはほとんどないからです。収入がゼロの人には無理ですが、ある程度安定した継続的な収入がある人は、不動産担保ローンの審査には通過する可能性があります。
東京スター銀行の不動産担保ローンの審査は?
利用しやすいローン
東京スター銀行は、自宅を担保として退職後の生活資金を借入できるリバースモゲージを日本で初めて導入した銀行です。不動産を担保としたローン商品を数多く取り扱っており、様々なシーンに対応できるようになっています。金利が低いことや、資金使途が自由であること、また融資額が大きいなど多くのメリットがあります。申し込みもしやすく、借主本院ではなく配偶者や実父母などの不動産でもローンを組めます。銀行ではこういった物件を担保とすることを嫌う傾向があるので、東京スター銀行は利便性を重視したローンと言えるでしょう。
スコアリング審査で迅速に
東京スター銀行が提供する不動産担保ローンは、審査が迅速であることでも知られていて、最速で融資される不動産担保ローンのひとつと言われています。審査がスピーディなのは、個人情報などを数値化して審査するスコアリングシステムを導入しているからです。この銀行はどういったローンであっても、このスコアリング審査をメインの審査方法として採用しています。個人の情報を数値化して、合計点数によって融資可能と判定されたら審査には通過します。個人に対するスコアの出し方は通常のローンと同じく、勤務先は公務員や上場企業の社員は高い得点となり、中小企業の社員は低くなります。勤務年数は長ければそれだけ点数が高いという点も普通のローンと同様です。
融資の条件
東京スター銀行の不動産担保ローンには、年収200万円以上という条件があります。非常に審査に通りやすいローンですが、この点はクリアしておかないと受け付けてもらえません。また、アルバイトやパート収入しかない人も審査不能です。リバースモゲージと違って、不動産担保ローンでは全額を利息を付けて返済することが前提となるので、収入条件は一定の基準をクリアしておかなければなりません。また、担保物件の評価額以内しか融資はされませんので注意しましょう。
住信SBIネット銀行の不動産担保ローンは審査期間が短い
実用性に優れた銀行
近年注目されている銀行が住信SBIネット銀行です。三井住友信託銀行とSBIグループが共同設立したネット専用の銀行で、新しいスタイルのサービスを次々と成功させており、今後の発展が期待できる銀行のひとつとして数えられています。多くの金融商品の取り扱いがあり、不動産担保ローンも販売しています。住信SBIネット銀行は名称通りネット上にしかない銀行で実店舗がないため人件費があまりかかりません。そのメリットを活かした低金利のローンです。銀行系の不動産担保ローンとして真っ先に検討すべきものとして挙げられます。
低金利で高額融資
住信SBIネット銀行の不動産担保ローンは変動金利制を採用していて、景気の動向に合わせて金利を上下させる方式ですが、基本的には低金利です。一般的に固定金利は返済計画が立てやすい反面で金利は高めですが、変動金利は低めの金利設定であることが多いです。審査次第では非常に低い金利が適用されることもあります。また、顧客獲得に熱心で頻繁に金利を引き下げるキャンペーンを実施しており、タイミングが合えばかなりの低金利で契約できます。融資額も高額で、多額の資金が必要な場合に対応しています。顧客満足度調査でも常に上位に位置しているローンです。
審査期間が短い
住信SBIネット銀行はネット銀行ですので実店舗を保有していないため、ローンの申し込みをするのに来店は不要です。すべてをネット上で行うことが可能で、必要書類は郵送でやり取りをします。申し込みから審査、結果の通知、融資まですべてWeb上で完結可能です。また、申し込みから融資までの時間が短いという大きなメリットがあります。最短で3営業日で審査結果が通知され、結果を受けて即日で融資が可能です。融資は銀行振込で対応しています。借入期間が長いのもメリットで、少しずつじっくり返済ができます。融資額が多少大きくても経済状況を悪化させることなく返済できるでしょう。
関西アーバン銀行の不動産担保ローンは審査が柔軟
資金使途自由のローン
メガバンクの三井住友銀行の出資によって設立された関西アーバン銀行の不動産担保ローンは、審査が柔軟で資金使途が自由という使いやすいローンになっています。関西の地方銀行ですが、対応地域は全国で、関西以外に在住している人でも利用可能です。ユニークなのは資金使途が自由という点です。個人が生活資金のために借入することも可能ですし、他社・他行ローンのおまとめローンとしても活用することができます。また、会社や個人事業主などが事業性のある資金の調達に使うことも可能です。銀行が提供する不動産担保ローンでは事業性資金の活用が出来ないものが多いため、この点は注目に値します。
審査が柔軟
関西アーバン銀行の不動産担保ローンは、融資条件がゆるめで申込時に満20歳以上満70歳以下であって、完済時の年齢が76歳未満であれば融資可能とされています。安定して継続的な収入があることも条件ですが、それ以外の条件がほとんどありません。融資期間も長いため、じっくり返済していけるでしょう。保証会社としてセゾンファンデックスを利用するので、同社の審査を通過する必要があります。セゾンファンデックスは信販会社で、銀行のプロパーの審査ではないため、審査が柔軟です。金融事故を起こしたことがあったり、収入からして明らかに高額の融資の申し込みでもない限り、高い確率で審査には通過します。
スピーディな審査
また、このローンは審査期間が短いというメリットもあります。ネットの口コミ情報によると、最短で申し込みして翌日に審査結果が通知されたという報告があります。ただ、4営業日ほどかかったという報告もあり、個人差はあるでしょう。審査の仕方は申込者によって異なっており、収入証明から在籍確認までしっかり行ったという事例もあれば、そういった手続きなしにすんなり審査に通ったという事例もあります。審査の早さや電話対応の良さも評価されています。
三井住友トラスト・ローン・アンド・ファイナンスの不動産担保ローンの審査は?
三井住友系のノンバンク
三井住友トラスト・ローン・アンド・ファイナンスは、三井住友信託銀行の不動産ローン会社です。ライフ住宅ローンという収益型不動産への融資を行っていたノンバンクが三井住友信託銀行と提携することで名称変更しました。首都圏や東海、関西を主な営業エリアとしています。銀行系ですがノンバンクで、審査スピードが早く、またメガバンク系ということで安心感があって金利も低く設定されており、ノンバンクと銀行の良いところを合わせたような会社です。
審査が早い
三井住友トラスト・ローン・アンド・ファイナンスの審査は非常に早いことで知られており、仮審査は2営業日から3営業日ほどで結果が通知されます。早めの融資を希望している人には向いています。また、築年数の古い物件や、そのために建ぺい率や容積率をオーバーしている物件でも審査の対象になります。43条但し書きが付いていたり借地権や再建築不可が付いている、全空物件でも審査対象で、融資可能です。法人融資でも個人融資どちらにも対応しており、柔軟性は非常に高いです。再建築不可での融資は珍しく、所有しているだけで税金を取られる一方の物件から融資を引き出せる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
年収が低くても審査に通る
三井住友トラスト・ローン・アンド・ファイナンスの大きなメリットとして、年収が低くても審査に通るという点が挙げられます。一般的に不動産担保ローンは、担保を取る割には年収の条件が厳しいことが多くありますが、ここは物件や自己資金次第ですが、年収200万円程度から審査に通過できます。ただし、個人向け融資で申込者の年齢が50代後半だと金利が上がって融資期間が短くなる傾向があるので注意しましょう。公式サイトからもかなり審査対象が幅広いことがうかがえます。知り合いの保証人となって、その人が返済不能になったことで自宅が差し押さえされそうだという場合にも、相談次第で審査するという記述があります。
みずほ銀行の不動産担保ローンの審査は?
メガバンク系だが審査はゆるめ
メガバンクと呼ばれる大手の都市銀行でも不動産担保ローンは取り扱っていますが、審査は厳しい傾向で、不動産の担保価値だけでなく申込者の個人属性などを詳しく審査されますし、審査落ちすることも珍しくありません。みずほ銀行の提供する不動産担保型多目的ローンは、なかでも審査がゆるめと言われています。ノンバンク系のスピードや審査基準の柔軟さには劣りますが、メガバンク系では最も審査に通りやすい不動産担保ローンです。
自宅のみが対象
とはいっても条件は狭く、個人向けローンであって、自宅のみを担保にするローンです。また借り入れた資金は事業性のある資金としては利用できず、あくまで生活資金のためのローンです。借り換えやおまとめローンとしても利用も不能となっていますので注意しましょう。みずほ銀行は日本の3大メガバンクのひとつですので、ローンの信頼性は抜群です。また上限金利が低いこと、ローンカード型であることなどのメリットもあります。
条件を満たせば審査通過できる
みずほ銀行の不動産担保ローンは、自宅の住宅ローンの返済が終わっているか、または返済中であってもかなり進んでいる状態であり、かつあまり高額でない借入を希望する人に向いたローンです。融資枠は控えめですし、借り換えにも事業資金にも利用できないローンです。生活資金などに困っている状態であるが、金利の高い通常のカードローンは使いたくないという場合におすすめできる不動産担保ローンです。利用できる条件が狭いこともあり、条件に合っていれば審査通過率は非常に高いです。当然、申込者の金融関連の個人情報は調査されますし、収入や担保価値も重要ですが、審査に通過しやすいメガバンク系の不動産担保ローンと言っていいでしょう。審査期間は1ヶ月程度で、融資までのスピードはかなり遅いローンと言えます。前年度の年収が200万円以上であれば審査を受けられます。